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不誠実な団体交渉に損害賠償命令・・・根岸病院労働組合事件

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1 事案の概要
 東京都府中市にある根岸病院では、1995年に現在の労務担当理事が就任して以来、労使の間で紛争が多発しました。
 組合員の雇い止めや、初任給の一方的な引き下げなどが行われ、東京都地方労働委員会(都労委)等から再三にわたって組合と団体交渉するよう命令が出されていたにもかかわらず、病院は団体交渉を拒否。そのような中、都労委は、懸案事件の一括解決を目的とした事務折衝を労使双方に提案し、2000年7月から事務折衝が始まりました。
 その後、事務折衝は、1年半近くの間で20数回に及びます。かねてより問題であった定年延長問題について、病院側と組合との間で一定の合意が形成され、その経過は、病院理事も出席していた都労委でも報告されました。
 ところが、2001年12月に至り、病院側は、これまでの合意は「事務局が理事会に諮らず勝手に行ったもの」と主張するようになったのです。
 憲法28条は、労働者の団結権・団体交渉権及び団体行動権を保障しています。組合は、病院側の上記のような対応により、組合のもっとも重要な権利である団体交渉権を不当に侵害されたとして、病院に対し損害賠償を求める訴訟を提起しました。

2 判決の意義
 これに対し、東京地方裁判所八王子支部は、2006年2月9日、組合側の主張を認めて病院に55万円の損害賠償金の支払を命じる判決を言い渡しました。
 判決では、労務担当理事らも都労委に出席して事務折衝の経緯を知っていたことなどを前提に、「労働組合は、事務折衝における合意を前提として、内部的に今後の対応を協議したりするのであるから、被告(病院)側としては、事務折衝から近接した日に理事会の了承が得られなかったことを労働組合に通知するなどの特段の事情がない限りは、理事会の了承の有無にかかわらず、合意に拘束されるものと解すべきである」と判示しています。
 このように、本判決は、誠実な団体交渉の要件を具体的にした上、誠実交渉義務に反した場合に損害賠償の対象となることを明確に認めました。
 この画期的勝訴判決を弾みとして、根岸病院労働組合は、病院労使関係の正常化を目指し、今後も取り組みを強める予定です。

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