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掛け持ちで仕事をしていた青年労働者の過労自殺に対し、逆転労災認定

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 出版社Aと出版社Bでそれぞれアルバイトとして勤務していた女性労働者(死亡当時26歳)が、精神疾患を発症して2004年10月29日に自殺した事件につき、2007年5月15日、東京都労働保険審査官は、死亡は業務とは無関係とした新宿労働基準監督署長の決定を取り消し、労災と認定する決定を出しました。

 この事件の特徴としては、①兼業を余儀なくされたことに加え、②A社の雑誌の広告掲載ミスに関連して、広告主から激しく非難された、③B社と兼業していたことがA社の社長に発覚し、社長から4時間にわたって「叱責を伴う話し合い」を受けた、④女性が死亡した10月のA社とB社とを合わせた労働時間は、29日までで307時間40分に達していた(審査官の調査による)、という点が挙げられます。

 審査官は、②「叱責を伴う話し合い」について、「上司が部下に対する指導の範囲を大きく逸脱する」と認め、パワーハラスメントがあったことを認めました。

 そして、審査官は、①ないし④の出来事が近接した時期に集中して発生したことを重視し、ばらばらでなく総合的に評価しました。

 さらに、審査官は、A社とB社の労働時間を合算して考慮することを認め、「深夜時間帯におよぶような長時間労働を度々行っていた」ことを認めました。これは、収入が少ないために、複数の職場を掛け持ちせざるを得ない労働者が過労死・過労自殺した場合の先例として、広く妥当するものといえます。

 今回の決定は、心理的な負荷を総合的に評価したことや、労働者が兼業していた場合の労働時間を合算して評価した点などにおいて、労災の門戸を広げたものとして、高く評価することができます。

 今回の決定について、女性の母親は、「娘がいかに責任感が強く、一生懸命だったかを理解してもらえた」「娘の辛さ、苦しさを理解してくれたと思う」と語っています。
 

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